初診日は、障害年金の請求において重要な意義をもっています
初診日とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師(以下「医師等」という)
の診療を受けた日をいいます。整骨院、ほねつぎ、鍼灸院等は初診日として認められません。
障害年金の初診日は、初診日にどの年金制度に加入していたかにより受給できる障害年金が異なったり、
初診日の前日において保険料納付要件を満たしているかどうかを判断したりと、
障害年金の請求において重要な意義をもっています。
【注目】
難病の場合、特に初期においては診断が付かず、医療機関を転々とすることも多くあります。 基本的な考え方としては、症状が出て初めて医療機関を受診した日が初診日になりますから、確定診断前の受診も初診日になりえます。 ただ最近では、難病等で障害年金を申請した場合の初診日が、病名の確定診断がなされた日とする取扱いが増えています。当オフェスでも多発性硬化症の方の申請代行を行いましたが、初診日は、病名の確定診断となりました。※実務的には、本来の初診日に変更する方向のようです。
初診日を証明する書類(受診状況等証明書)
受診状況等証明書が添付できない申立書とは
初診日が5年以上前であったために初診の病院でのカルテ情報が破棄されていたり、病院そのものがなくなって
しまったりしている場合など、何らかの理由で初診を受けた病院での受診状況等証明書を取得が出来ないことが
あります。その場合は、この「受診状況等証明書が添付できない申立書」を請求時に添付します。
しかし、この書類を準備したからといって、初診日が書類通り認められるわけではなく、初診日を証明する証拠が
何もない場合には「初診日が確認できないため不支給」となってしまいます。
客観的に初診日の証拠となる資料を用意する
日本年金機構では、最初の病院で証明が取れない場合には、請求者の状況に応じ、幅広い資料を参照しながら、客観的に初診日を判断することとしています。具体的には以下の資料を参照します。
1.2番目以降に診療を受けた医療機関による証明
2.紹介状(診療情報提供書)
3.身体障害者手帳等の申請時の診断書
4.身体障害者手帳
5.医療機関の受付簿等
6.医療機関発行の診察券
7.20歳前の受診が確認できる場合
次のものも参考資料として取り扱うこととされています
●交通事故証明書
●インフォームド・コンセントによる医療情報サマリー
●身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳
●身体障害者手帳等の申請時の診断書
●生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書
●事業所等の健康診断の記録
●母子健康手帳
●健康保険の給付記録(レセプトも含む)
●お薬手帳・糖尿病手帳・領収書・診察券(可能な限り診察日や診療科が分かるもの)
●小学校・中学校等の在学証明・卒業証書
●盲学校・ろう学校の在学証明・卒業証書
●第三者証明
●その他
初診の病院に確認したが「カルテが保存されていない」と言われたら
病院にさらに以下の再確認を行います。
1. 別の倉庫などにカルテを保存していないか
2. カルテのサマリーがないか
3. コンピュータに受付記録などの情報がないか
その結果、カルテが存在する場合は、初診の証明書(受診状況等証明書)の作成を依頼します。
上記2及び3の場合で、記録が存在するときは、初診の証明書(受診状況等証明書)を依頼しますが、初診の証明書とは認められないので、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を記入し、診察券、医療費の領収書など挙証資料をできるだけ添付します。
障害年金の受給には保険料を納めていることが必要です
障害年金を受けるには、初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていること(保険料納付要件)が必要です。
(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付又は免除されていること
◆保険料を納めた期間(第3号被保険者期間も含む)
◆保険料を免除された期間
◆学生納付特例又は若年者納付猶予の対象期間
これは、これまでの加入期間のうち3分の1を超える保険料の未納がないということです。
(2)初診日において65歳未満であり、初診日が平成38年3月31日までにある場合、初診日の前々月までの直近の1年間に保険料の未納期間がないこと。のいずれかの期間で満たされていることが必要です。
なお、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
「初診日の前日において」とは?
納付要件は「初診日前日の年金保険料納付記録がどうだったか?」で見ます。そのため、
初診日当日にあわてて納めたり、免除や猶予の手続きをしても手遅れです。
公的年金も保険制度(負担と給付の関係)であり、「それまで保険料を納めてきた⇒保険事故が起きた
⇒保険金を請求できる」ということになります。
障害年金の受給申請は障害認定日以降でないと行えません
障害認定日とは、原則として初診日から起算して1年6ヶ月を経過し、本来の障害の認定を行うべき日のことをいいます
が、1年6ヶ月以内に症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った場合は、その日が障害認定日となります。
20歳前障害は保険料を納めていなくても請求できます
20歳前障害による請求とは、20歳前の年金に未加入であった期間に初診日のある傷病により一定の障害の状態に
ある方が、20歳に達した日(障害認定日が20歳以後の場合はその障害認定日の時点)に障害等級の2級以上に
該当する場合に請求することができます。(請求できるのは20歳に達した日以降で、障害基礎年金となります)
診断書 |
原則として20歳に達した日の前後3ヶ月以内の診断書(障害認定日が20歳以後の場合は障害認定日から3ヶ月以内の診断書)が必要になります。 |
受給権の発生 |
20歳に達した日(障害認定日が20歳以後の場合は障害認定日)となります。なお、障害年金の支給は20歳に達した日(障害認定日が20歳以後の場合は障害認定日)の翌月分からとなります。 |
保険料納付要件 |
問われません。 |
なお、障害認定日において一定の障害の状態に該当しなかった場合(障害認定日時点の診断書を取得することができなかった場合も含む)であっても、65歳に達する日の前日までの間に該当するに至った場合は、事後重症による請求が可能となります。 ※ただし、老齢基礎年金の繰上受給により既に年金を受けている人は、事後重症による請求はできません。
障害基礎年金(20歳前障害)の所得制限
障害基礎年金の支給を受ける権利がある人の前年の所得が、「所得税法に規定される控除対象配偶者や扶養親族の数(障害者本人単身、という場合も含みます)に応じて政令で定められた額」を超えると、その年の8月分から翌月の7月分までの1年間に亘り、全額または2分の1支給停止になります。扶養親族が無い人の所得制限は、半額停止が3,604,000円、全額停止が4,621,000円です。
その他の制限
所得制限に加え以下の場合も支給停止になります。
①恩給法による年金をもらっている場合
②労働者災害補償保険法(労災法)による年金をもらっている場合
③その他の公的年金制度による年金をもらっている場合
④監獄、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき
⑤少年院その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき
⑥日本国内に住所を有しないとき